脳科学者である中野信子先生の『ヒトは「いじめ」をやめられない』を読んでみました。
前回読んだ、 中川翔子さんの『「死ぬんじゃねーぞ!!いじめられている君はゼッタイ悪くない』はいじめの被害者に向けたメッセージ本でした。
↓感想はこちら
これはこれで、いじめ被害者に寄り添ったとても良い本だったけれど、でもやっぱり「そもそもいじめをなくせないのか?」と私は思ってしまう。
ということで、今回選んだ本は『ヒトは「いじめ」をやめられない』。
この本、本屋さんに行くたびにずっと気になってはいたんです。
でも、いじめ加害者を擁護するような、この『ヒトは「いじめ」をやめられない』というタイトルがどうにも気にくわなくて読む気になれませんでした。
では、なぜ読むことにしたのか?
本屋さんでこの本を漫画化したものを見つけたのです。
パラパラと読んでみたら、とても興味深い内容で。
どうせ読むなら漫画版より活字で・・・ということで、この本を購入しました。
内容をご紹介します。
目次
内容
脳の機能からいじめが起こるメカニズムを解説した本。
いじめは種を残すために脳に組み込まれた機能である。
ヒトの肉体は他の動物と比べて非常に脆弱であり、猛獣から身を守るには集団で対抗するしかなかった。
集団にとっての脅威は内部から集団そのものを破壊してしまう「フリーライダー(ズルをする人)」の存在。
フリーライダーを野放しにすると集団が崩壊する可能性が出てくる。
そのため、集団を守ろうとフリーライダーを検出する「裏切り者検出モジュール」が反応し、制裁行動を与えて排除しようとする。
これがいじめが発生してしまう根源にある脳のメカニズム。
本書では上記のメカニズムをいじめに関わる脳内物質の説明を交えてより詳しく解説しているほか、脳科学の観点からいじめられやすい人の特徴などを分析、いじめの回避策の提案を行っている。
感想
第2章の〈いじめに関わる脳内物質〉のところだけは専門用語が多くて読みづらく感じる部分がありましたが、いじめのメカニズムからいじめの傾向、いじめ回避策までどれも興味深い内容でした。
いじめを題材にした本の感想としては不謹慎な表現かもしれませんが、率直におもしろかったです。
私がこの本を読んで思ったこと。
それは「もう、学校なんていらないんじゃないかな?」ということ。
勉強をしなくていいということではないです。
そうではなく、学校という箱がいらないということ。
アメリカやイギリスではホームスクーリングが急速に進んでいるっていうし。
この本に書いてありました↓
学校はいじめが起きやすい環境だとせっかく研究でわかったのに、それでもなお学校に子どもを通わせるメリットってなんなんでしょう。
よく、「学校がなくなったら子どもが社会性を学ぶ場がなくなる。」とかいうけれど、いじめが起きている時点でその機能を果たしていないですよね。
ついでに、いじめが原因で授業もままならないから勉強もできていない。
何のために学校へ行っているの?って私は思うのです。
「青春の思い出がなくなるなんてかわいそう」って言う人もいるかもしれないけど、それは奇跡的にいじめと無関係に学校生活を終えられた人の意見。
いじめられた思い出、いじめた思い出、いじめを見て見ぬふりした思い出なんて黒歴史でしかない。
『ヒトは「いじめ」をやめられない』には学校でのいじめをなくす環境対策として、第三者の目で死角をなくすとか、監視カメラを設置するとか対策が書いてありましたが、「それもありかな・・・。」と思う反面、いずれそれらの目をくぐりぬけて、またいじめが起きるのではないかという気もしたり・・・。
実際、SNSを使ったいじめなら、第三者の目も、監視カメラの目も避けられますからね。
もちろん私にも、娘には学校で友達と楽しい思い出を作って欲しい、という気持ちはあります。
でも、それが叶わなかったら?という不安の方が大きいのです。
娘がいじめの被害者にされてしまったら…。
娘がいじめの加害者になってしまったら…。
(育て方云々の話はここではしません。それがわかっていたら、こんなに悩みませんから。)
ちょうど昨日あたりから、東京都葛飾区の中学生のいじめ事件がニュースで取り上げられていますよね。
こういうニュースを見るたびに、娘をこれからどう育てたら良いのか・・・と考え込んでしまうのです。
でも、考えても答えは出てこないし(この本を読んでますますそう思った)、不安は消えないしってことで、「学校なんてなくなればいいのに!」という考えは、私の頭がショートしてたどり着いた極論です。
この本に興味を持たれた方は、実際に起きたいじめ事件をイメージしながらこの本を読んでみて下さい。
加害者の脳の中で何が起きているのかがわかり、本の理解が深まります。
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