小林せかいさんの本3冊目。
『誰でも戦力になれる未来食堂で働きませんか』を読んでみました。
著者が経営する未来食堂には従業員がいません。
小林せかいさん一人で切り盛りしています。
では、著者一人で朝の仕込みから閉店後の片付けまでこなしているのかというと、実は違います。
未来食堂には従業員はいませんが、だれでもお店をお手伝いできる〈まかない〉という制度があるのです。
今回はその〈まかない〉について書かれた本です。
内容をご紹介します。
目次
内容
従業員を雇わない定食屋、未来食堂。
このお店には〈まかない〉という制度がある。
〈まかない〉とは誰でも未来食堂のお手伝いを50分間することで定食一食が無料になるサービス。
〈まかない〉として働いてもらうのにキャリア等の条件は一切なし。
『誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか』は、この〈まかない〉に来るどんな人でも戦力にする方法を解説した本。
本書は大きく分けて2部構成。
チームにおける縦のつながりと横のつながりに分けられる。
縦のつながりでは「組織」「人」「自分」に細分化され、誰でも戦力になれる組織の作り方、教育方法、自分の役割や立ち位置を解説。
横のつながりでは既存(同僚などの横の関係)から力を借りる方法を紹介。
『誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか』の大きな特徴は、「他人」を変えるのではなく、「組織(仕組み)」と「自分」を変える点にあること。
「あの人は使えない」と切り捨てるのではなく、どんな人でも活躍できる場を提供する方法を提示している。
感想
この本、もっと早く出会いたかったです。
特に参考になったのが、2章の〈どうやって人を育てるか〉。
私は会社で教育担当の仕事をしています。
主に、新しく入られたコールセンターのコミュニケーター(CM)さんに業務を教えているのですが、これが本当に難しい。
CMさんの個性や考え、人柄を尊重しつつも、電話の相手に正確に、簡潔に、伝わるように話すことを教えなければなりません。
その塩梅が悩む悩む。
感じはいいけどまわりくどくて話が長い人。
感じはいいけど相手の言っていることが理解できないくて相手をイライラさせてしまう人。
感じはいいけど自分の回答に自信が持てなくて相手を不安にさせてしまう人。
そこに加えて業務の習熟度も人それぞれ。
「なんで同じ間違いを何度もするの? 」とか、「もう少し考えてから答えて~。」とか。
こういうのが重なると、「あの人ちょっと・・・」ってなってしまう。
もちろん私の教え方の問題もあります。
いろいろ人を育てる系の本を読んで勉強していますが、なかなかうまくいきません。
でも、その理由がこの本を読んでわかったような気がします。
答えはやっぱり私にあったようです。
本書では「教える」という言葉を使うのではなく「一緒にやっていく」「フォローする」という言葉を使っています。
「教える」という言葉を使っていると、相手が同じ失敗を繰り返したりした時に「何度も教えているのに何でできないの?」ってなってしまうんですよね。
そして、教える側の心の負担になって、だんだん相手にイライラしてくる。
相手は何となくそのイライラを感じて委縮し、また同じ失敗を繰り返す。
悪循環です。
「教える」という言葉は教える側を主体にしますが、「フォローする」という言葉だと教えられる側が主体になります。
できない相手を怒るのではなく、どうやったらできるようになるかフォローする。
隣にずーっと付いているのではなく、少し距離をとって相手が困っている時にだけ手を差し伸べる。
相手を信用していないとなかなかできないことではありますが、もう少し広い心で相手を見守った方が良いのかなと、今までの自分の行動を反省しました。
本書ではどんな人でも戦力にするための
・仕組みづくり
・人の育て方
・自分との向き合い方
・人に助けてもらう方法
を学べます。
この本の最大の売りポイントは、相手を変えるのではなく、組織・自分を変えるための方法が書かれている点。
もちろん精神論ではなく、実践的な方法です。
仕事で部下を持つ方、教育する立場にある方におすすめ。
私はこの本を読んで、「夫との関係にも使える!」と思いました。
夫を教育というと聞こえが悪いけど、家事・育児にもう少し携わって欲しい場合に、相手を変えるのではなく、仕組みと自分の考えを変える。
興味がある方はぜひ読んでみて下さい。
誰でもすぐに戦力になれる未来食堂で働きませんか ゆるいつながりで最強のチームをつくる
- 作者: 小林せかい
- 出版社/メーカー: 祥伝社
- 発売日: 2019/03/01
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