『マネーという名の犬』に続き、子供向けに書かれた『いま君に伝えたいお金の話』を読んでみました。
『マネーという名の犬』の監修を手掛けた投資家の村上世彰さんが書いた本です。
『マネーという名の犬』についてはこちら↓
村上さんは現在シンガポールに在住しているようですが、日本に帰るたびに各所で子供たち向けの「お金の授業」を行っているそうです。
その「お金の授業」を通して知った、子供たちがお金について「知りたいと思っていること」と、村上さんが子供たちに「知って欲しいこと」をまとめたものがこの本になっているようです。
各章のタイトルと内容
第1章 お金って何だろう?
お金はツールであるということ、どうして人生にお金が必要なのかが書かれています。
第2章 お金と世の中の関係
値段について書かれています。
値段はどうやって決まるのか、価値と価格の違いについての説明がわかりやすいです。
第3章 君がお金を手にする方法
好きなことをしてお金を稼ぐことについて書かれています。
好きなことを見つける方法、どうやったら自分の好きなことに対して人はお金を払ってくれるのか説明されています。
第4章 働き方が大きく変わる
会社員として働くことが安泰ではなくなった今、これからどんな働き方が求められるのか書かれています。
第5章 稼いだお金を貯めて増やす
投資について書かれています。
「期待値」という言葉を使って投資するかを決める方法、リスクとリターンや損切りなどについてわかりやすく書かれています。
第6章 お金と向き合うための覚悟
借金について書かれています。
教育ローンや奨学金についての説明は大人も必読です。
第7章 とっておきのお金の使い方
社会貢献について書かれています。
寄付やボランティアについて村上さんの経験も交えて説明されています。
ざっと見て、これらの内容を子供にわかりやすく説明できますか?
・お金が「目的」になっている大人が多い中、「ツール」でしかないということを理解している人はどれくらいいるでしょうか?
・値段が決まる仕組みを子供に説明できますか?
・子供が好きなことを仕事にしたいといった時、その内容がどうあれ、応援できるだけの考えを持っていますか?
・これからの働き方について子供にアドバイスできる知識はありますか?
・貯金以外にお金を増やす方法、子供に教えられますか?
・借金について正しい知識を持っていますか?
奨学金、教育ローン、住宅ローンやクレジットカードも借金という認識はありますか?
・子供に寄付する先の選び方を教えられますか?
『いま君に伝えたいお金の話』は中学生くらいの子供を対象に書かれた本のようですが、1つでも子供に説明できないなと思うことがあれば、大人も読むべきだと思います。
特に私がたくさんの大人に読んで欲しいと思ったのは、第6章と第7章です。
第6章
この章では奨学金や教育ローンでお金を借りて、大学に進学するリスクについて書かれています。
日本では子どもの教育費は親が用意するものという考えの家庭はまだまだ多いです。
ですが、給料は上がらない、税金や社会保険料で手取りは減る一方、そして高齢化で老後資金の準備も欠かせない現代は、教育資金まで手が回らずに奨学金や教育ローンに頼る家庭も増えています。
そして、その返済は社会人になったわが子へ。
ところが子供は就職した会社が安月給なうえ、奨学金の返済で自己投資や貯蓄にまわすお金もない。
下手したら大学を卒業したのに就職できない。
結婚して夫婦で奨学金の返済をしているために家計を圧迫しているというケースもあるそうです。
村上さんは教育資金について「借りるなら、自分がそのお金を使って勉強することで、将来どれくらいお金を稼ぐことができるかまで考えておく必要があります。その計算がもしもプラスにならないのなら、教育ローンではなく別の方法でお金を得てから学校に行くことを考えた方がいい。あるいは、進学ではなく就職するという選択だってあります。就職して仕事をしながらお金を貯めて、改めて大学に入ることを考えてもいいのです。」と本書の中で言っています。
村上さんのような考えの大人って少ないのではないでしょうか?
いまだに大学を出ないといい会社に就職できないとか、高卒じゃだめだとか…。
そして、奨学金が借金だってこと、社会人になってお金を返すということが子供にとってどんなデメリットがあるかをきちんと子供自身に伝えずに奨学金を受けさせて大学を出させる。
子どもは社会人になって初めて奨学金と向き合うことになり、返済に苦しむ。
余談ですが、1年ぐらい前に櫻井翔さん主演の『先に生まれただけの僕』というドラマで、お父さんが病気になった生徒に教師が奨学金で大学に行くことを勧めるというシーンが1話にありました。
その教師の行動に違和感を感じた櫻井翔さん演じる校長先生が、生徒に奨学金を受けるとはどういうことなのかをきちんと説明しているシーンがすごく印象的で、あまりドラマを観ない私も、そのドラマは最後まで観続けました。
消費者金融でお金を借りることに抵抗を感じる大人は多いですが、住宅ローンや奨学金、クレジットカードを借金と認識している大人は少ないと思います。
どこから借りるかではなく、「借りたお金は返さないといけない」「お金を借りるリスクに対してリターンはどこまで見込めるのか」を大人は子供にきちんと説明できないといけないと思います。
第7章
先日、〈札幌の86歳男性が北海道地震の被災6市町に9億円寄付〉という毎日新聞の記事がYahoo!に掲載されていました。
この男性は過去にも12億円を寄付しているそうです。
純粋に私もこんな人になりたいと思いました。
『いま君に伝えたいお金の話』の中で村上さんも寄付はお金がもっとも輝く使い方だと書いています。
最近は災害が多く、日本でも募金箱をよく見るようになりました。
それでも日本人は一人当たりの募金額がアメリカ人と比べて十分の一以下だそうです。
私も募金が習慣になっている人間ではないので偉そうなことは言えませんが、活きたお金の使い方として少額でも人の役に立つお金の使い方をしていきたいなと思います。
その姿を見て、子供が寄付というお金の使い方を知ってくれたら、こんなに嬉しいことはありません。
子どもにどうやってお金について教えるか
私たち夫婦には間もなく子供が産まれます。
妊娠中から子供に対してどのようにお金について教えていこうか、というのは夫と話してきました。
私自身がここ数年でお金について勉強してみて、もっと早く知りたかったと思ったことが理由の1つ。
そして、親や周りから教えてもらった「お金」というものは間違っていたり、お金の本の一部の側面でしかなかったことがもう1つの理由です。
まだお腹にいるわが子にどの様にお金について教えていこうかと夫婦で話すのは、少し早すぎる気もします。
ただ、姪や甥を見ていると、そんなに先のことでもないと思うのです。
言葉を話せるようになり、自己主張ができる3歳ぐらいになるとお菓子やおもちゃをねだり始めますよね。
買ってあげるのは簡単ですが、その時その年齢の子供にわかる言葉でお金について話せるように、親である私たちは今から準備しておかないといけないと思うのです。
姪や甥はATMから無限にお金が出てくると思っていたようですから…笑。
そして、やがてくるおこづかい問題もありますし。
お腹にいるわが子よ!
パパとママはその時が来るまで、しっかりお金について勉強して、君にお金についてきちんと説明できるように頑張って勉強続けるからね。