『マネーという名の犬』のあらすじ
タイトルが気になり読んでみました。
ドイツの経営・資産形成コンサルタントのボード・シェーファーさんが書き、村上世彰さんが監修している本です。
このボード・シェーファーさんが書いた「マネーの犬」という本は全世界で400万人もの人が読んでいるそうです。
物語の主人公はキーラという12歳になったばかりの女の子。
家の前でけがをした犬を見つけ、保護するところから物語はスタートします。
キーラの両親は念願のマイホームを購入したものの、ローンの返済で家計がまわらなくなって毎日のように喧嘩。
その様子を見てキーラは悲しい思いをしていました。
犬の飼い主を探してみましたが見つからず、結局その犬はキーラの家で買うことに。
家族で名前を考えている際に、犬が「マネー」という言葉に反応したので名前はマネーとなります。
ある日、川で溺れてしまったマネーをキーラが助けたことで、マネーはキーラを信頼してキーラにだけ言葉を話すようになります。
マネーは元の飼い主の影響でお金について詳しく、キーラが両親と同じ道を辿らないようにお金について教え始める…という内容です。
キーラの両親はマネーリテラシーというものが一切ありません。
特に母親は「日本人をモデルにしているの?」と錯覚してしまうほど、物語の中で出てくるセリフが日本の一般的な家庭で子供に伝えられているものばかりです。
例えば
「人生お金がすべてじゃないわ。」
「わたしたちは大金とは縁がないのよ。それにお金があっても不幸になるだけよ。大事なのは、少ないお金で満足することなの。よく覚えておくのね。」
「お金をさわったら手を洗いなさい。」
「お金の話なんてするものじゃないわ。」
などなど。
そういった両親のもとで育ったので、キーラ自身も最初はマネーリテラシーがなく、自己肯定感の低い女の子でした。
やる前からできない理由や失敗することばかり考えるのです。
そんなキーラにマネーは「夢アルバム」や「夢貯金箱」「成功日記」といったものを作らせ、少しずつ彼女を変えていきます。
「夢アルバム」や「夢貯金箱」「成功日記」を通してキーラは少しずつ考えが変わり、行動が変っていきます。
行動が変われば出会う人たちの層も変わります。
まさに「類は友を呼ぶ」という状態です。
キーラが新たに出会った人たちが、今度はマネーに変わって彼女にお金について教えてくれるようになります。
そしてますます彼女はマネーリテラシーを身に付けて成長していくという物語です。
書評
この本を読んで真っ先に思ったのは、ファイナンシャルアカデミーのお金の7つの教養「考え方」「貯め方」「使い方」「稼ぎ方」「増やし方」「維持管理」「社会還元」がすべて盛り込まれているということでした。
お金の扱い方に国は関係なく、お金の教養は世界共通の課題なんだなと思いました。
私がこの本を読んで特に心に響いたのは4章の「好きなことを仕事にしよう」という内容です。
今までもいろいろな本を読んでは、「私の好きなことってなに?」「好きなことをどうやってお金につなげればいいの?」と、答えが見つからない迷路にはまっている問題です。
『マネーという名の犬』ではキーラと同い年のマルセルという男の子が登場します。
彼は既に自分の好きなことでお金を稼いでおり、キーラに好きなことで稼ぐためのアドバイスをくれる大切な存在です。
マルセルはキーラに「おまえ、一度でも真剣に仕事を探したことがあるかい?つまり、午後まるまる使って、どうやったらお金が稼げるかだけを集中して考えたことがあるか?」というセリフがあるのですが、なんだか私の心にまでぐさっと刺さりました。
私の年齢のおよそ1/3しか生きていない12歳の子供でさえ、「自分が喜んでやりたいこと」で他の人が抱える問題を解決してお金を稼いでいるのです。
自分には人の悩みを解決できるような力は何もない…と思うのは実際は何も考えていない証拠だなと思いました。
あとがきで筆者も言っていますが、この本は物語を楽しむだけで終わりにしたら何も得られません。
この本に書かれていることはお金の原理・原則です。
その原理・原則をしっかりと理解し、自分の中に落とし込み、行動することで、キーラのように読者の人生も少しずつ変わっていくのだと思います。
この本は12歳ぐらいの子供がお金を学ぶきっかけになるようにと出版されたそうですが、実際は大人でも学ぶことがたくさんあります。
むしろ、親子で読んで意見交換すること、お互いの行動を見直すことで、親も子もより理解が深まるのではないかと思います。