昨年、日本でも話題となった『82年生まれ キム・ジヨン』を読みました。
この物語、私は読むまで著者自身の話だと思っていました。
でも、読んでみたら違いました。
これは韓国人女性全員が経験した、そして日本人女性も経験した物語でした。
目次
あらすじ
1982年に韓国で生まれたキム・ジヨンという女性を主人公に、彼女の半生を追いながら、韓国に根深く残る女性差別について描かれた社会派小説。
物語は、キム・ジヨンが、突然誰かが乗り移ったかのようにふるまうようになり、心配した夫が精神科医のところに相談しに来たという設定となっている。
キム・ジヨンは今年で33歳になる。3年前に結婚し、去年、女の子を出産した。
ある日突然、自分の母親や友人が乗り移ったかのように振舞い始めるキム・ジヨン。
心配した夫とともにその原因を探るため、彼女の誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児までを振り返る。
1982年に韓国で生まれた女の子に一番多い名前をもつ「キム・ジヨン」氏の半生から浮かび上がってくる、何世代にもわたって女性たちが心に閉じ込めてきた思いとはー。(引用元:Amazon)
感想
私、この話は著者の実体験だと思っていました。
読み終わった今も、その考えは変わりません。
そのくらいリアルに描かれた、そして私たち女性がこれまでに経験してきたことがリアルに描かれたお話です。
この物語は韓国の女性を描いたものですが、ここまでひどくはないにしても、これは日本でも実際にあった、そして今もある話だと思います。
記憶に新しいのは、東京医大の入試差別問題。
本来合格していたであろう女子学生が不合格になっていたという事実はかなりの衝撃でした。
これ、去年だか一昨年だかの話ですよね。
「これは日本の話でもある。これを韓国の話だなんて思ってほしくない!ただの小説だなんて思ってほしくない!これは私たち女性のリアルなんだ!」
そう思いながら読み進めました。
でも、きっとこの本を手に取るのは女性ばかりなのでしょうね。
男性にはこんな話入ってこないし、経験することすらないから。
私がこの本を読んでいて主人公に一番共感したのは、妊娠してからの部分。
キム・ジヨンが妊娠・出産後に夫や社会から受ける扱いは日本と全く同じ。
韓国では専業主婦のことを「ママ虫」と言うのだそうです。
ママ虫とは、育児もろくにせずに遊びまわる、害虫のような母親という意味のネットスラングなんだそう。
ママ虫のような言葉はないにしても、専業主婦に対して「楽をしている」とかいう人は日本でもいますよね。
国が違っても、女性の扱いは同じなんだなってなんだか悲しくなってしまいました。
もう一つ、許せなかったのは夫のチョン・デヒョンの発言!
子どもを作ろうと言い出した時から、妻が妊娠・出産・育児について相談した時の発言までうちの夫とそっくり!
最初にイラッとしたのは「僕も(育児や家事を)手伝うから」という発言。
私が何度も怒ったので今でこそ言わなくなってきましたが(まだたまに言う)、うちの夫も良く言っていたんですよね。
「手伝う」ってお前の家だろ!お前の子どもだろ!ってチョン・デヒョンに心の中で叫んでしまった。笑
なんだか感想なんだか、我が家の夫婦喧嘩の話なんだかわからなくなってきましたが、女性はきっと読んだら主人公をはじめとする韓国の女性に共感すること間違いなし!
でも、本当に読んで欲しいのは男性。
これを小説だなんて思わないで。
これを韓国の話だなんて思わないで。
あなたに娘がいるなら、今のままだと娘も主人公と同じ扱いを将来受けますよ。
韓国の男性の一部はそのことに気が付いて行動を変え始めたようです。
ぜひ、日本の話、自分の身のまわりで起きている話と思って読んでください。