『ハーバード、イエール、プリンストン大学に合格した娘は、どう育てられたか』を読みました。
時々くすっと笑ったり、じーんとしたり。
どのエピソードも深く考えさせられるものばかり。
「私もこんな子育てをしたいなー」と思いながら読みました。
目次
内容
著者のひとり娘である紗良に自力(=自分で生き抜く力)つけさせるべく、著者が子育て中に娘に伝えたこと、娘のためにしたことを、当時の娘とのエピソードとともに紹介した本。
著者の娘はハーバードやイェール、プリンストンといったアメリカの難関大学に合格し、ハーバード大学を卒業した。
だからといって、著者は初めからハーバード大学に行ける娘を育てたわけではない。
娘がハーバード大学に進学できたのは結果論だと著者は言う。
娘が産まれたときに著者が立てた誓いは、自分の力で働き、税金を収められる人間に娘を育てるというもの。
そのために、著者は以下の3つのことを子育てにおいて大切にしてきた。
①娘を一人の人間として尊重する
②子どもを観察する
③子育ては手を替え品を替え
その結果がアメリカの難関大学への合格へとつながったと著者は考える。
本書では、この3つの指針にまつわる著者の子育てエピソードを33個紹介。
子育てはたった17年間の期間限定と考え、子育てを楽しみつくした著者の想いがたっぷり詰まった本と言える。
感想
私もこんな子育てがしたい!
本書を読んだ一番の感想はこれです。
特に著者が娘を一人の人間として認め、向き合う姿は本当に素晴らしいと思いました。
夜更かししたい!お風呂に入りたくない!夜遊びしたい!といったすべての子どもが一度は発するであろう言葉も、父親の転勤に今は同行できないといったかなり深刻な娘からの申し出も、「ダメ!」「親の言うことを聞きなさい!」と言った言葉で片づけるのではなく、娘に満足いくまでやらせる。
ただし、それによって生じた問題の責任は自分でとらせる。
著者の娘がその繰り返しを経て学んだことは学校の勉強で学ぶことよりもはるかに重要で、そしてそれがまさに著者が言う「自力」なんだといくことがよくわかる本でした。
本書を読んで気づいたこともあります。
それは、著者が子育てで実践してきたことは、『「非認知能力」の育て方』の著者であるボーク重子さんが子育て中に行ってきたことと重なる部分多いということ。
・家庭でのルールを作る。
(子どもに課すだけでなく、家族みんなでそのルールを守る。)
・子どもが話す、その日あった出来事をしっかり聞く。
(聞き出すのではなく、子どもが自分から話し始めるのもポイント。)
・子どもに命令しない。
・子ども自身に考えさせる。
・決定権を子どもに与え、責任をとるということを体験を通して学ばせる。
・勉強しなさいとは言わない。
(それまでの子育てで子どもに自己管理能力がついているので、言う必要がない!)
・学力は重視していない。
(人間力を育てることを重視。)
・お金の管理を自分でさせる。
・子どもの睡眠時間を大切にしている。
・親が手本となる行動をとる。
・読書習慣を大切にする。
・アート教育を大切にしている。
・リスト化で思考を整理させる。
など共通点が非常に多いのです。
その理由は明確。
お2人とも、子育ての基本指針が
・子どもを一人の人間として尊重する。
・子どもを観察する。
だからなんです。
学力・学歴を重視する日本の子育てとは全く違う!
これが世界の子育てなんだということを改めて実感しました。
そしてここには絶対に見落としてはいけないポイントが1つあります。
著者の娘は既に30歳、ボーク重子さんの娘は20歳ということ。
子育てにおいて大切なことは学力ではなく人間性を育てることだという考え方は、30年も前から海外にはあったということです。
一方、日本はいまだに学力重視の幼児教育。
東大理Ⅲに子どもを複数人進学させた母親がもてはやされ、その親が子育て中にやった早期教育が手本とされています
〇歳までに読み聞かせを1万冊とか、就学前に読み・書き・そろばんとか。
世界はとっくに勉強ができるだけの人間なんて相手にしていないのに。
娘が18歳を迎える頃、世界に日本人の居場所はあるのだろうか。
超高齢化で日本には魅力的な仕事はない、でも海外では相手にしてもらえない。
そんな日が将来やってくるのではないか?
とっても楽しい著者の子育てエピソード満載の本なのに、読み終えた後は日本の将来に不安を抱かずにはいられなくなってしまいました。