湊かなえさんの『告白』を読みました。
実は私、湊かなえさんの作品を読んだのは今回が初めて。お恥ずかしい…。
この1冊でファンになりました。
現在、湊かなえさんの作品を片っ端から読みたい衝動に駆られています。
目次
内容
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの告白から、この物語は始まる。語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、次第に事件の全体像が浮き彫りになっていく。(引用元:本書の背表紙)
ある女性教師の娘が殺された。
場所は女性教師が勤める学校内。
警察は事故として処理したけれど、女性教師はやがて事故ではないと気づく。
そして、犯人が自分のクラスの生徒であるということにも。
女性教師は犯人たちを法に裁かせるのではなく、自らの手で裁くことを決意。
物語はこの女性教師による裁き「告白」から始まる。
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。このクラスの生徒に殺されたのです。」
なぜ事件は起きたのか?
なぜ女性教師の娘が殺されたのか?
1つの事件が女性教師、クラスメイト、犯人の家族、犯人AとB、それぞれの視点で語られていく。
感想
この本は一気に物語の中へ引き込まれます。
そして、もう一度読み返したくなります。
1章は正直、よくわからないまま読み進めていました。
牛乳の話から話があちこちに飛んで、「ん?ん?」となりながら。
でも、1章の終わり、娘を殺された女性教師が生徒たちの前で犯人について話し始めたところから、急に1ページ目に戻りたくなりました。
「えっ?えっ?この犯人、さっき実名で登場してなかった?どこだっけー???」
で、もう一度最初から読み始める。
そこからはもう、自分を止められませんでした。
夜中の2時過ぎまで一気読みです。
本書は章ごとに語り手が変わります。
1章は校内で娘を殺された女性教師が、2章は女性教師のクラスの生徒が、3章は犯人Bの家族が、4章は犯人Bが、5章は犯人Aが、最終章は再び女性教師が、それぞれの目線で1つの事件について語るのです。
みんな同じ事件について語っているのに、それぞれに見え方が違います。
1章を読むと、犯人Aはとても危険な人物であるように読み取れます。
でも、2章に出てくる犯人Aには全くそのような印象がありません。
「なんだ、彼も普通の中学生だったんだ…。」と読みながら胸をなでおろしました。
ところが、4章・5章を読むと、やっぱり彼はおかしいのです。
犯人Bについても同じことが言えます。
1章で語られる犯人Bは、もともとは犯罪を犯すような性格ではありませんでした。
でも、3章・4章を読んでいると、やっぱり彼にもちょっとおかしなところがある。
今回は不運にも事件に巻き込まれた感があるけれど、いずれ近いうちに同じようなことをしていたのではないか・・・。
そんな気がするのです。
犯人Aと犯人Bについて書きましたが、おかしいのは彼らだけではありません。
本書に出てくる人たちは、みんなちょっとおかしいのです。
娘を殺された女性教師さえも。
でも、これが今の社会の縮図なのかもしれません。
みんな何かに抑圧されて生きている。
それを爆発させたい願望もある。
爆発させるための手段も準備している。
あとは引き金になる何かが起きれば…。
読後、そんなことを思い、一人背筋が凍りました。
明日、自分も爆発するかもしれないし、誰かの爆発に巻き込まれるかもしれない…と。
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