齋藤孝先生の『本当の「頭のよさ」ってなんだろう? 勉強と人生に役立つ、一生使えるものの考え方』を読みました。
この本は、本屋さんの児童書コーナーで出会いました。
パラパラとめくってみて、「これは娘に読んで欲しいな。」と思ったけれど、娘はまだ1歳。
娘がこの本を読めるようになる頃には私がこの本の存在を忘れてしまっているかもしれないし、なかなか手に入らない状態になっているかもしれない。
そうなったら嫌だなと思って購入しました。
買ったからにはもちろん私も読みます。
思った通り、とても良い本でした。
ご紹介します。
目次
内容
中学生、高校生に向けた本。
勉強する意味、学校へ行く理由など、中学生・高校生になると誰もが疑問に思うことの答えが書かれている。
親が中学生・高校生の子どもに知って欲しいと思ってはいるものの、親自身の考えがまとまっていなかったり、うまく言葉にできなかったり、子どもが口をきいてくれなかったりと言った事情で、子どもに伝えられないことをすべて代弁してくれている本と言える。
各章の内容は以下の通り。
第1章 本当の「頭のよさ」ってなんだろう?
「勉強ができる=頭がいい」ではなく、生きていくうえでの賢さと、その賢さを身に付けるための方法を指南。
第2章 勉強するのはなんのため?
「勉強する」のは自分の中に豊かな森を育てるイメージ。
著者自身が感じる「勉強」の楽しさと、子どもの頃に著者が生み出した勉強法を解説。
第3章 学校に行く意味ってなに?
誰もが一度は考える、「学校」へ行く意味について書かれている。
学校は、勉強よりも大切な、社会に出てから役立つ力を身につけるために行く場所であることを伝えている。
第4章 受験にはどんな戦術で立ち向かうか?
将来を決める重要な一歩となる受験。
将来が見えていないために視野が狭くなりがちな子どもたちに、将来の選択肢を狭めないための勉強の仕方、進路の決め方を指南。
第5章 本とどうつきあうか?
本との付き合い方、本から得られることを解説。
読んで終わりではなく、本の内容を自分の糧にする読み方を伝えている。
第6章 「好きなこと」への没頭体験、ありますか?
「好きなこと」の見つけ方、「好きなこと」に没頭することで得られることについて書かれている。
子どもたちが考える、「好きなことだけやって生きていきたい!」に対する著者の考えや、「きらいなこと」から得られることについても触れた深い内容。
第7章 思春期は不機嫌でいてもいいと思ってる?
自分で自分が抑えられなくなる「思春期」。
持て余した感情は親や周囲の大人への反抗で発散されるが、著者は「反抗期」という言葉に甘えるなと一喝。
思春期に自分の感情をコントロールすることで、社会で生きていく力を身に付けることを伝えている。
第8章 生きていくってどういうこと?
苦難の乗り越え方を解説。
「辛いことから逃げる」と考えるのではなく、「自分の進むべき道を選んだ」という考え方を提示。
絶対に「死」を選択してはいけないという強いメッセージ。
感想
読みながらずっと思っていたこと。
それは、「私が小学校高学年の時にこの本に出会いたかった!」です。
生きていくうえでの頭の良さ、勉強する理由、学校に行く意味、受験勉強との向かい方、本を読んで得られること、「好きなこと」の見つけ方、思春期の自分の扱い方、生きる意味と、この本の内容を知っていたら、私の人生は変わっていただろうなと思うことばかりが書いてありました。
特に感銘を受けたのは、第4章の「受験にはどんな戦術で立ち向かうか?」。
読んでいて、私は自分で人生の選択肢の幅を狭めたことを痛感しました。
私には小さい頃から将来の夢がありませんでした。
そんなことはおかまいなしに、高校生になると進路を決めるように迫られました。
理数系科目が苦手だったことと、英語が得意だったことから、私はとりあえず文系コースに進学。
そして、語学の勉強が好きという理由で大学は外国語学部を選択しました。
やりたいことが見つからないまま時は過ぎ、大学3年生になると、周りに流されるまま就職活動を開始。
外国語を活かしたいとは全く思っていなかった私は、とにかく働く場所を求めて就職先を探しました。
そして、今に至ります。
でも、この考え方は人生の選択肢を狭める行為だったのだなと、本書を通して感じました。
やりたいことがなかったからこそ、文系・理系にとらわらずにまんべんなく勉強するべきだった。
英語が得意だったからこそ、理系に進むという選択肢もあった。
そのことが本書には書かれていました。
人のせいにするべきではないけれど、そんなことを教えてくれる大人は私の周りにはいませんでした。
小学生の時にこの本に出会えていたら、きっと私の人生は違うものになっていただろうなと思わずにはいられません。
周りの大人が子どもたちに教えられることには偏りがあります。
大人は自分が経験したことしか子どもには伝えられないからです。
だから、子どもは本をたくさん読んで、周りの大人が教えてくれない世界を自分から見にいく必要があるのだなと思いました。
そのことすら、周りに本を読む大人がいなければ、子どもは知ることもできませんが・・・。
この本は、ぜひ多くの子どもたちに読んでもらいたいと私は思います。
中学生・高校生向けに書かれた本のようですが、フリガナがふってあるので、本を読みなれた子なら小学校高学年でも読めるのではないかと思います。
私自身は、娘が小学校6年生になったら読んで欲しいなと思いながら、この本を読み進めました。
この本との出会いをきっかけに、近い将来、娘に読んで欲しい本を並べたスペースを本棚に作りました。
「この本を読みなさい。」と言って読ませるのではなく、娘が自ら本を手に取るようにするために。
娘が、本を通して私の知らない世界を見ることができるように、私はこれからも本を読み、本棚に本を並べ続けます。