『メディアにむしばまれる子どもたち』という本を読みました。
小児科医の田澤雄作先生という方が書いた本です。
テレビやゲーム、スマホなどのメディアが子どもにどのような影響を及ぼすのか。
メディアにむしばまれた子どもたちをどのように治療したらよいのか。
田澤先生が実際に診察した子どもたちの症例をもとに解説してくれています。
内容を紹介します。
目次
内容
子どもたちにメディアを与えることが彼らの成長にどう影響するのか、著者が実際に診察した子どもたちの症例をもとに解説した本。
この本でいうメディアとはテレビ、ビデオ、テレビゲーム、携帯用ゲーム、インターネット、携帯電話、スマートフォンなどを意味する。
最近の親は子どもがおとなしくなるとか、良い子に育つ、家事がはかどるという理由で子どもたちにメディアを与える。
しかし、子どもが小さいうちからメディアを与えることは、今を楽にするかもしれないが、将来大きなつけが回ってくる。
子どもは大人を見て「まねる」ことで社会力の土台を培い、人間の大人になる。
そこにメディアが入ってくると、子どもの視線はメディアにくぎ付けとなり、現実世界を見ないままに育ってしまう。
すると、子どもたちの表情から次第に笑顔が消え、心が未発達のまま体だけが成長する。
そういった子どもたちが、友達をいじめたり、ニートになったり、残忍な事件を起こしてしまったりする。
本書ではメディア漬けになってしまった子の治療法や、子どもとメディアの付き合い方についても紹介している。
感想
私たち子育て世代は、子どもたちにテレビやスマホ、ゲーム画面を長時間見せてはいけないとわかってはいるものの、なぜだめなのか、それが子どもたちにどの様な影響を及ぼすのかまではよくわかってはいないのが実情ではないでしょうか。
だから、なんとなく良くないとはわかっていても、子どもが公共の場で騒いだり、少しおとなしく遊んでいて欲しいときに、ついついスマホやゲーム、テレビを与えてしまう。
この本には、なぜ子どもたちにメディアを与えることが良くないのか、どんな危険をはらんでいるのかを、実際にメディア漬けになって通院した子どもたちの症例をもとに解説してくれているので納得感があります。
ただ、私はこの本を読んでいて不満に思ったことが1つあります。
それは、メディアから引き離すために、子どもたちにどんな遊びを提供したらよいかが詳しく書かれていないことです。
わらべ歌や絵本の読み聞かせなどが良いとは書いてあるのですが、そういった遊びが通用するのはせいぜい就学前までではないかと私は思うのです。
それに、エネルギーが有り余っている子どもたちは、わらべ歌や読み聞かせだけでは満足しないとも思います。
我が家の周りには子どもたちが思いっきり遊べるような場所がありません。
公園はいくつかありますが、いずれも滑り台とブランコと砂場があるだけの小さなもの。
幼稚園ぐらいまでの子なら満足できるかもしれませんが、小学生には物足りないのではないかと私は思うのです。
しかも、公園なのに民家に囲まれているからボール遊び禁止とか、騒ぐの禁止とかの注意書きがある公園もあります。
これでは、子どもたちは思いっきり外で遊ぶことはできません。
それに、今のような暑い時期は熱中症が心配で、とてもじゃありませんが外で遊ばせるなんてできません。
でも、エネルギーのありあまった子どもたちを家で遊ばせるのは難しい。
マンションだと下の階への騒音が気になるし、戸建てでも家が密集した地域では子どもの声や足音は隣家に響きわたります。
おとなしく遊んでもらうには、どうしてもメディアに頼るしかないという親御さんも多いのではないかと私は思うのです。
また、公共の場で子どもにメディアを与えるのも、子どもが泣いたり騒いだりすると、親のしつけがなっていないという子育てを理解していない大人たちがいるからだと思います。
子どもたちをメディア漬けにしているのは育ての親だけではありません。
子どもたちの遊び場を奪い、子どもの生きにくい社会を、子育てのしにくい社会を作り上げた大人全員に原因があると私は思います。
そういった環境でメディア漬けにせずに子どもを育てるにはどうしたら良いのか、そこまで掘り下げて欲しかったというのが私の感想です。
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