マネバナナ

アーリーリタイアを夢見るアラフォーママが好きなことを好きなように書いています

『学校の「当たり前」をやめた。』「変えられない」は思い込み。「学校」だって変わる!変えられる!

 

『学校の「当たり前」をやめた。ー生徒も教師も変わる!公立名門中学校長の改革ー』を読みました。

著者は千代田区立麹町中学校の校長である工藤勇一先生。

読み始めてすぐに思ったこと。

それは、「あー、私が探していたのはこんな先生!」のひと言に尽きます。

閉鎖的で、時代に取り残されつつある「学校」という場所にも、こんな風に「今」をしっかりと生きながら生徒指導を行ってくれる先生がいたのかと安心しました。

私が抱く、日本の学校教育に対するネガティブなイメージが少しだけ払拭されました。

 

目次

 

内容

著者は千代田区立麹町中学校の校長である工藤勇一先生。

本書は、著者が麹町中学校の校長として配属されてからの約4年間に行った改革について主に記されている。

 

本書の中で紹介されている改革は、以下の3つの理念をもとに実行されている。

「目的と手段を取り違えない」

「上位目標を忘れない」

「自律のための教育を大切にする」

 

著者は『学校は子どもたちが、「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ためにある場所』だと考えており、この考えを上位目標に据えてすべての改革を行っている。

そして、子どもたちが「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ためには、生徒の自律は不可欠であり、「自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質(=自律)」を身に付けさせることが教育の原点であると考えている。

 

こうした理念のもと、著者が行った改革は

・宿題の廃止

・定期考査の廃止

・固定担任制の廃止

・運動会の「クラス対抗」の廃止

・服装指導の廃止

といった通常の学校教育では当たり前に行われていることの見直しからスタートし、

・手帳とノートの書き方指導

・クエストエデュケーション

・アフタースクールの開設

・コミュニティスクールの開設

・修学旅行を企画型の取材旅行へ変更

など新しい仕組みも導入。

 

本書ではこれらの改革による効果や、改革に踏み切った際の著者の考えが一つ一つ丁寧に紹介されている。

 

感想

 

先日Twitterで、「学校の図書室に百人一首の本があって借りたかったんだけど、借りた本を忘れてきた子がいたから借りられなかった。」というお子さんの話をツイートしている方がいました。

該当のツイートは削除されたのか見当たらなくなってしまったのですが、どうやらそのお子さんのクラスは前回借りた本を忘れた子がいると、連帯責任でクラス全員が次の本を借りられないらしいのです。

しかも、その学校はマンモス校であるうえに司書がいないので、子どもたちが図書室に入れるのは月1回なんだとか。

 

そのクラスの先生にもいろいろとお考えがあってのことだとは思いますが、いまどき連帯責任って…。

「一人の失敗がみんなの迷惑になることを子どもたちに教えたいのかな?」とかいろいろ先生のやり方を肯定的にとらえてみようとしてみたけれど、「むしろ今の子どもたちは失敗を恐れて挑戦したがらないから、逆効果だよな。それに本を読んで得られる学びの機会を奪うこと以上のメリットなんてないんじゃないかな。ただでさえ月に一度しか図書室に入れないのに…。」と頭の中はぐるぐる。

「学校は、子どもたちが社会に出て困らないように社会の仕組みやルールを教える場所なのに、学校が時代遅れでは、子どもたちを学校に通わせる必要性はもはやないんじゃないかな…。」と1人もやもやしていました。

 

そんな時に読み始めたこの本。

むくむくと膨れ上がる私の「学校」に対する不信感をすっぱり断ち切ってくれました。

『学校は子どもたちが「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ための場所』という前提に立ち返り、「目的と手段を取り違えない」という軸を作って、この軸に反する、学校に昔からある悪しき習慣をやめ、子どもたちに自律を促す取り組みを作る。

こんな考えを持ち、スピーディーに実行する学校の先生がいることに安心しました。

そして、著者に賛同して一緒に学校を変えていこうと考えている先生がたくさんいることにも。

 

変わらなければいけないのは先生方だけではありません。

著者は生徒の保護者にも当事者意識を持つように本書の中で主張しています。

何かあるとすぐに学校のせいにする親。

保護者が「消費者」、学校が「サービス事業者」と化している現在の保護者と学校の関係にも警鐘をならしています。

もちろん、保護者に当事者意識を持たせるための取り組みも導入。

生徒、教師、保護者のすべてが自律することを目標に新しい風を吹き込んでいます。

 

私は本書を読むまで、「学校」という場所は法律や教育委員会が制定するルールに縛られており、なかなか古いやり方を変えられない場所なのかと思っていました。

でもそれは、思い込みに過ぎないのだということが本書でよくわかりました。

この本はどちらかというと現役の先生方に向けて書かれたものなのかなと思いますが、お子様がいる方もぜひ読んだ方が良いと思います。

学校を変えるのは教師だけでなく保護者の力も必要です。

今のところ学校は最低でも9年(小学校・中学校)、高校までなら12年、長ければ14年以上(専門学校・大学・大学院等)子どもを通わせることになる場所です。

保護者も「義務教育だから通わせる」「みんなが行くから通わせる」といった古い思考を取り払い、子どもたちが学校で過ごす時間を無駄にさせない意識を持つことが大切なのではないかと思います。

『子どもたちが「社会の中でよりよく生きていけるようにする」ためにある場所』という本来の学校の機能を取り戻すために、「教育」について教師だけでなく、大人全員が当事者意識を持って考え直すべき時なのではないかと本書を読んで思いました。

 

学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる!  公立名門中学校長の改革 ―

学校の「当たり前」をやめた。 ― 生徒も教師も変わる! 公立名門中学校長の改革 ―

  • 作者:工藤 勇一
  • 出版社/メーカー: 時事通信社
  • 発売日: 2018/12/01
  • メディア: 単行本
 

 

 

 

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