『こころと頭を同時に伸ばすAI時代の子育て』を読みました。
今回も非認知能力に関する本です。
テーマはアート。
落合陽一さんの『0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる学ぶ人と育てる人のための教科書』を読んでSTEAM教育について知って以来、子育てにおけるArt分野にも興味がある私。
美術の才能が0の私にとって、娘が作った作品のほめ方や作業過程の見守り方を学べる、参考書のような本でした。
目次
内容
著者は花まる学習会取締役の井岡由実さん。
子どもと保護者からは「Rin(りん)先生」と呼ばれている。
本書は、著者が勤める花まる学習会の「Atelier for KIDs」での活動で著者が心がけていることや子どもへの声掛け方法を紹介している。
「Atelier for KIDS」とは、いわゆる創作ワークショップのこと。
そこでは「3つのきはん」がある。
①じゆうに やりたいように つくってください。
②うまくいかなくてもくじけない。
③じかんがきたら、おしまいです。
①じゆうに やりたいように つくってください。
教えてもらった通りにしなくてもいいし、先生や友達のまねっこでもいい。
全く同じものは絶対につくれないから。
・「自由」の中にあるときこそ、子どもたちは本来の力を発揮し、こころも頭も同時に動かしながら学ぶ。
自分と対話をしながら作品を作ることで自分なりの感じ方・考え方を築き、他社との違いを豊かさと感じながら生きていく力をつける。
・たとえ人のまねっこでも、作品に個性は出る。
大人は子どもに「自分らしさ」や「オリジナリティ」を求めるけれど、それは子どもを締め付けることにつながる。
幼児期には「まねをしてはいけない」という呪縛は不要。
自分自身のフィルターを通して見た世界観は絶対に失われることのないものである。
②うまくいかなくてもくじけない。
困った時はいつでも質問していい。
困っている仲間がいたら助けてあげる。
・うまくいかずに葛藤する経験は、柔軟に発想を転換し、工夫する創造力を育てる。
失敗から新しい何かが生まれる経験を体験させることができる。
・教え合うこと、誰かに考えを説明する体験は、教える側の力を伸ばす。
③じかんがきたら、おしまいです。
頭とこころが切り替えられる人はたくさんのものを生み出す人。
・人生は有限だということを知ることで、時間を無駄にせず、やり抜きたいという自覚が芽生える。
自分で行動を決められるようになる。
・限られた時間の中でベストを尽くすことを学ぶ。
子どもたちはこの「3つのきはん」を守りながら制作に没頭することで、やる気や忍耐力、好奇心、計画性といった非認知能力を育んでいく。
また、「Atelier for KIDs」では作業を見守る大人にもルールがある。
①できる限り手を出さない
②作業に没頭しているときは声をかけない
③上手だね、を使わず認める
④これは何?と言わない
⑤自分の価値観を押し付けない
⑥(あなた自身も)自分はどうしたいのか、に向き合い続けてください
これらは
・子どもをじっくり観察し、
・大人の価値観を押し付けず、
・完璧をもとめない
ためのルール。
子どもが作ったものは必ずしも「何か」を表現しているとは限らないし、「上手」という言葉を大人が使えば、子どもは自然と「上手」に作らなければいけないと思うようになってしまう。
「子どもに大人の価値観を押し付けるな」という強いメッセージが込められている。
本書では「3つのきはん」と「大人のための6つのルール」について、「Atelie for KIDs」であった出来事を紹介しながら詳しく解説している。
感想
私は美術の才能がありません。
絵を描いたり、何かを作ったりするのは大の苦手!
いつから自分の描くもの・作るものが下手だと思うようになったのかはわからないけれど、物心ついた頃には自分の絵や作品は下手だと思うようになっていました。
本書を読んでいて、その理由がわかった気がします。
日本の学校教育は音楽や美術にも点数をつけます。
高い点数をもらえなければ、自然と「自分はその科目が得意ではないんだ。」と子ども心に感じます。
私は幼稚園の頃は楽しく絵を描いていた記憶も、祖父と陶芸を楽しんでいた記憶もあるので、小学校で点数をつけられるようになってから、絵を描いたり何かを作ったりすることに苦手意識をもつようになったのかもしれません。
もちろん、取り組み姿勢なども通知表には反映されていたので、作品の良し悪しだけで評価されていたわけではないと思いますが、一生懸命作った作品に低い評価がつけば、やっぱり傷つきます。
その積み重ねが芸術分野への苦手意識に繋がっているのだと思います。
著者が勤める花まる学習会では、子どもの作ったものを一切否定しないそうです。
たとえ作業の途中で失敗しても、それを失敗だと言わないし、子どもにもそう思わせない。
その失敗は、予想外の展開を生むいい機会。
「それはそれで美しいね。」などとポジティブな言葉を子どもにかけることで、子どもはその失敗を作品に活かす方法を自分で考える。
そうすることで、自然と「自分で考える力」「やり抜く力」が育っていくそうです。
私もこんな環境で作品作りに没頭できていたら、「自分は芸術の才能がない」なんて思わずに成長できたのかな、と羨ましくなりながら読み進めました。
本書を読んで特に参考になったのは、大人が発する言葉の子どもに与える影響について。
非認知能力関連の本を読んで、子どもの自己肯定感を下げるようなネガティブな発言はしないというのは今までに学んで知っていたこと。
でも、子どもの作った作品に対して「これは何?」という言葉をかけてはいけないとは知りませんでした。
子どもが作った作品を見ると、ついつい「これは何?」とか「これはママのお顔?」とか聞きたくなってしまいます。
でも、「子どもは必ずしも何かを表現しているとは限らない」と言うのは驚きです。
ということは、あえて「〇〇について書いてみよう!」と言わない方が良いのかな?とも思ったり。
子どもの「やりたい!」という気持ちや、「こうしたい!」という考えを押し込むことにつながるから。
娘はまだあまりお絵かきをしませんし、何かを作るということもありませんが、これから彼女が生み出すものに対してどんな声をかけたらよいのか、非常に参考になる本でした。
「Atelier for KIDs」にもぜひ娘を参加させたいです!
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