2019年にベストセラーとなった『ケーキの切れない非行少年たち』を読みました。(←時代に乗り遅れ気味。笑)
私は恐らく、著者の期待する感想とは別のものを抱いてしまったと思います。
娘を育てるうえで非常に考えさせられる本でした。
目次
内容
著者は精神科医であり、大阪の公立精神科病院で児童精神科医として勤務したり、少年院で法務技官として勤めた経験をもつ。
本書は著者のそうした経験から、非行少年たちにみられるある特徴についてまとめたもの。
医療少年院にいる少年たちに多く見られる特徴、それは
・認知機能の弱さ…見たり聞いたり想像する力が弱い
・感情統制の弱さ…感情をコントロールするのが苦手。すぐに切れる。
・融通の利かなさ…何でも思いつきでやってしまう。予想外のことに弱い。
・不適切な自己評価…自分の問題点がわからない。自信があり過ぎる、なさ過ぎる。
・対人スキルの乏しさ…人とのコミュニケーションが苦手。
・身体的不器用さ…力加減ができない、体の使い方が不器用。
といったもの。
これらの特徴は「軽度の知的障害」と言える。
現在の知的障害の定義はおおよそIQが70未満で社会性に問題があることとされている。
この定義では、およそ2%が知的障害に該当する。
知的障害の定義は過去に変わっており、1950年代の知的障害の基準はIQ85未満であった。
この定義に当てはめると、現在の知的障害者は16%いることになる。
つまり、以前は知的障害と認定されていたが今は知的障害と認定されていない人たちが14%いることになる。
彼らは本来多くの支援を必要とする立場にあるが、「知的障害」と認定されていないがために何の支援も受けられず、非常に生きづらさを感じている。
そのひずみが彼らを非行へと走らせている。
こうした「軽度の知的障害」があるが、「知的障害」と認定されていない人たちが最初にサインを発するのは小学2年生頃。
・感情コントロールが苦手ですぐにカッとなる
・人とのコミュニケーションがうまくいかない
・集団行動ができない
・忘れ物が多い
・集中できない
・勉強のやる気がない
・やりたくないことをしない
・嘘をつく
・人のせいにする
・じっと座っていられない
・身体の使い方が不器用
・自信がない
・先生の注意を聞けない
・その場に応じた対応ができない
・嫌なことから逃げる
・漢字がなかなか覚えられない
・計算が苦手
これらは少年院に送られてきた少年たちの小学校時代の特徴とほぼ一致する。
彼らは軽度の知的障害があるものの、現在の知的障害の基準に該当しないがために、親や教師にその障害を気づかれることなく、非常に生きづらい生活を送っているのである。
その結果、本来支援を受けるべき障害者が犯罪者になっている。
こうした状況を改善するためには学校教育を変えていく必要がある。
本書の後半では少年院の少年たちが更生するきっかけとなった事例を紹介し、学校現場で取り入れるべき対処法を紹介している。
感想
本書の内容は衝撃的で、娘をもつ母親としては非常に複雑な思いを抱く内容でした。
犯罪を犯し、反省と更生を求められて少年院に送られる非行少年たち。
彼らのほとんどは軽度の知的障害をもち、認知機能が弱い。
だから、少年院に入ってきても「反省以前の状態」なんだそうです。
本書で事例として多くあげられているのが幼女に対して性犯罪を犯した少年の話です。
娘のような小さい女の子に対して性犯罪を犯して少年院に送られても、自分の犯した罪の重大さも理解できない犯人たち。
もしも娘が性被害にあってしまっても、相手は事の重大さも自分の犯した罪の重さも理解していない…理解できないということです。
娘は一生その傷を背負っていかなければならないのに。
この事実を知って、私は本書を読んでいる間中、「どうしたら娘を守れるのか?」ということを考えていました。
本書の趣旨は、「軽度の知的障害」があるものの、現在の知的障害の基準にあたらないために生きづらさを感じている少年たちが将来非行を犯さないために教育現場を変えていこうという内容です。
そのための具体的な方法も書かれています。
将来の非行少年を一人でも多く減らすために、ぜひこの内容は教育現場で取り入れていただきたいものです。
でも、残念ながらすぐに状況が大きく変わることはないでしょう。
であれば、私がするべきことは、こうした少年たちの犯罪に娘が巻き込まれないための方法を考えなくてはいけません。
今すぐに。
娘はこれからどんどん成長し、私の目の届かないところで過ごす時間が多くなります。
どんなに私が目を離さないようにしても限界があります。
娘が犯罪に巻き込まれないようにするためには、やはり娘自身に自分の身を守る術を身に付けさせる必要がある。
もっと積極的におうち性教育について勉強し、私が学んだことを娘に伝えていかなければと思いました。
本書の内容を受けて今気になっている本。
近々これを読んでみようと思います。
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