『ライオンと歩いた少年』を読みました。
以前に読んだ『子どもを本好きにする10の秘訣』という本で、小学5~6年生向けのおすすめ本として紹介されていた児童文学です。
ジャンルは生き物・自然。
ぐっと引き込まれる何かが起こるわけではないけれど、ページをめくらずにはいられなくなる不思議な本です。
目次
あらすじ
主人公はクリスという少年。
12歳の時に母親を亡くし、悲しみにくれる父親を支えるために彼は一夜にして成長しなければならなかった。
そのためクラスメートとも馴染めず、孤独を感じながら過ごす毎日。
そんなある日、父親の仕事の都合でアフリカへ行くことになった。
希望と期待を胸にアフリカの地に降り立ったのもつかの間、クリスたちの乗った飛行機は墜落してしまう。
奇跡的にクリスは軽傷で済んだものの、父親は足を骨折、パイロットは重症。
救助を待つ間、できることをしようと散乱した荷物をかき集めているところにライオンの群れと遭遇する。
危機一髪のところで助かるも、このままでは再びライオンに襲われてしまう。
クリスは救助を呼ぶためにひとりアフリカの地を歩き始める。
感想
なぜライオンと少年は心が通じ合ったのか、そもそも本当にライオンと人間は心が通じ合っていたのか、作者の考えは一切書かれていません。
本来なら分かり合えるはずのない野生のライオンと人間。
人間の方はライオンの存在を意識し、気持ちが通じ合っていると感じていますが、ライオンがどう思っているのかは、この物語からは一切読み取れません。
最後まで人間の推測でしかない。
そのため、読者は自由に想像することを許され、読み終わった後も不思議と心を揺さぶられます。
アフリカの大自然、そこで暮らす生き物たちの様子、密猟者の存在、彼らから野生の動物たちを守ろうとする人間の葛藤…。
簡単には見ることのできないアフリカの地を疑似体験できるのも、この本の 良いところ。
今まで全く興味がなかったアフリカが少し身近に感じられ、行ってみたくなりました。
ハラハラする展開はあるものの、わりと淡々と進む物語です。
だからこそ、主人公の少年クリスと一緒に読者もアフリカの地をライオンと歩いているような感覚を味わえる。
そんな本です。
『ライオンと歩いた少年』が紹介されていた『子どもを本好きにする10の秘訣』はこちら↓