『子どもを本好きにする10の秘訣』を読みました。
言いたいことはタイトルの通りです。
世の中には長年読まれ続けてきた面白い本がたくさんある。
子どもにそれらの本の存在を伝えなかった周りの大人の罪は重い。
自分の人生を振り返り、私は心底そう思いました。
目次
内容
わが子に心豊かな人間に育って欲しい、そのために少しでも本好きになってほしい、と思うのは自然な親心。
しかし、その気持ちが強いあまりに、かえって子どもを本嫌いにさせてしまう言葉をかけてしまう親は多い。
「まだこんな本読んでるの?これだと絵ばっかりだから、もっと字が多いのにしたら」
「あなたはもう小学生になったんだから、絵本は卒業ね」
「途中でやめるの?一度読み始めたんだから、最後まで読みなさい」
「読み終わったの?じゃあ、どんな話で、どう思ったのか説明してみて」
「またそれ読んでるの?前にも読んだじゃない。いい加減、ほかのを読んだら」
「本を読んでおけばためになるんだから、何でもいいからたくさん読んでおきなさい」
これらの発言は、本というものをあまりに短絡的に、何らかの学習の手段=「教具」として考えすぎてしまっているがゆえに出てくるもの。
読書と一般的な学校での学力、成績との関連性を扱った研究は多くある。
そういったものを目にすると、子どもに本を読ませれば成績は上がるのではないかと思えてくる。
しかし、幼児期に本を使っていくら言葉の学習をさせたとしても、小学校生活が始まって9ヶ月ほど経つと、そのような個人差や性差はほぼなくなってくるという研究結果もある。
読書は何かの「手段」ではなく、それ自体が「目的」。
子どもはあくまで「楽しさ」を根底に据えてこそ、結果的に学びとなるものが多くなる。
「生まれつき本が嫌いな子どもなどひとりもいない」というのが著者の考え。
本書では、子どもと本との関係が途切れないようにするための親のかかわり方や見守り方を紹介。
子どもが自分から本を読むようになる方法から本の選び方、豊かな読書体験から育まれる能力まで幅広く解説している。
そして何と言っても、本書の最大の魅力は紹介されている本の数。
「命・生き方」「科学」「冒険・ファンタジー」「家族・人間関係」「生き物・自然」「世界・社会」「芸術・感性」「昔話・神話・歴史」の8分野にわたって291冊の本が紹介されている。
どれも著者自身が読み、また実際に授業の中で薦めて子どもたちに長年愛されてきたものを「子どもたちに確実に力を与えてくれるもの」として自信をもって紹介している。
それら以外にも、本書の中では多くの本が登場。
絵本から大人向けの本まで、どれもこれも読んでみたくなるものばかり。
『子どもを本好きにする10の秘訣』というタイトルではあるが、読めば大人も本を手に取りたくなること間違いなしの1冊と言える。
感想
どれもこれも、本書の中で紹介されている本は読んでみたくなるものばかり。
メインは子ども向けの本ですが、そんなの関係ない!
「どうして私が子どもの時、こんなにたくさんの面白そうな本があることを誰も教えてくれなかったの?」と思わずにはいられませんでした。
紹介されているものはロングセラーばかりで、30年前からあったものも多いはずなのに…。
私と1歳しか年が変わらない著者が、今までの人生でたくさんの素敵な本に触れていたことが心底うらやましくなりました。
しかも、紹介されている本のジャンルは様々。
読書を通して幅広い世界に触れてこられた人生は、同じ時代を同じ国で生きていても、きっと見えている世界が全く違うのではないでしょうか。
世の中には長年愛され続けている面白い本がたくさんあることを子どもに伝えない大人の罪は重いな、と私は本書を読んで思いました。
実際、こんなに魅力的な本がたくさんあることを教えてくれる大人が私の周りにいなかったことが、アラフォーの今でも本当に悔しいですから。
著者の言う通り、本は誰かに強制されて読むものではないと私も思います。
でも、まだ出会っていない本の魅力を子どもに伝えるのは周りの大人の役目。
私自身はそういう大人が周りにいなかったので、中学受験のための塾に通うようになって国語の問題を通して本の魅力にはまり、本を少しずつ手に取るようになった記憶があります。
もしあの時、中学受験をしたいと親に言わなかったら、私は今頃本の魅力を知らない大人になっていたかもしれません。
こうした自分の経験から、改めて娘にもたくさんの本に出会わせてあげたいと思いました。
もちろん強制ではなく、自然と導いてあげられるような形で。
その方法は本書で紹介されているものを活用しながら。
まずは私が子どもの頃に出会えなかった本書で紹介されている本を読み、その魅力を知ることから始めようと思います。