『モンテッソーリ教育で伸びる子を育てる!』を読みました。
今までのモンテッソーリ教育の本とは一味違って新鮮な内容でした。
目次
内容
著者は幼児教育研究家の平川裕貴さん。
モンテッソーリ教育の考え方を取り入れた、英語の幼稚園型スクールを運営している。
本書はモンテッソーリ教育を家庭で取り入れる方法を解説したもの。
一般的なモンテッソーリ教育関連の本によくある、手作り教具の紹介は一切なし。
家にあるもので教具の代用をする方法を一部紹介してはいるが、本書はモンテッソーリ教育の考え方を家庭での育児に取り入れる方法の解説がメイン。
また、最終章ではモンテッソーリ教育のメリットと不安点、その解消方法を掲載。
モンテッソーリ教育が日本の教育との両立が難しい点や、日本社会およびAI時代を生き抜く子どもを育てるうえでそぐわない点をあえて指摘。
それらを解消するために、著者が自ら考え、実際に自身が運営するスクールで取り入れている方法を紹介している。
感想
本書はモンテッソーリ教育を推奨する本でありながら、最終章であえて、モンテッソーリ教育が日本社会に適応する、AI時代を生き抜く子どもを育てるという点でデメリットとなる部分を紹介しています。
モンテッソーリ教育は、子ども一人一人を尊重する教育。
子どもの個性を伸ばすことで、藤井聡太さんやビル・ゲイツ氏のような天才を生み出してきました。
しかし、日本社会では組織の中で突出するより、周囲との歩調を合わせることや、和を重んじることを求められます。
また、AI時代は自由な発想が必要。
個人での活動がメインであり、決められた教具で技術を習得するモンテッソーリ教育で、果たしてそれらが習得できるのか?
著者は、どんなに素晴らしい教育法や考え方であっても、欧米のやり方をそのまま取り入れるのは問題であると指摘しています。
日本の文化や、時代にあわせてアレンジが必要だと考えており、実際に著者が運営するスクールではモンテッソーリ教育の考え方を取り入れつつも、手を加えているそうです。
本書ではその内容を紹介しています。
私はこれまでにモンテッソーリ教育関連の本を4冊ほど読んできましたが、この視点で書かれた本は一冊もありませんでした。
どの本もモンテッソーリ教育のすばらしさについて書かれており、私自身もモンテッソーリ教育の考え方に共感。
日本の教育や社会に合わない部分があるなんて考えていませんでした。
そのため、著者の「どんなに素晴らしい教育法や考え方であっても、欧米の考え方をそのまま取り入れるのは問題」という言葉は胸に刺さりました。
育児関連の本を読んでいると、どうしても日本の教育制度の欠点や欧米からの遅れを感じずにはいられませんが、文化や時代の違いに合わせてアレンジは必要なのだなと痛感。
育児関連本に限らず、これから本を読む際には、このことを意識するようにしようと思いました。