マネバナナ

アーリーリタイアを夢見るアラフォーママが好きなことを好きなように書いています

『理想の国語教科書 決定版』教科書に載っていた作者らが身近に感じられる1冊。

 

齋藤孝先生の『理想の国語教科書 決定版』を読みました。

これまでに『理想の国語教科書』という本を著者は3冊出しているようなのですが、私が読んだのは一番新しいもの。

子どもから大人まで読める、学べる、楽しめる内容でした。

 

目次

 

内容

齋藤孝先生が子どもたちにぜひ読ませたい作品を集めた本。

著者は過去にも『理想の国語教科書』という本を2冊出しており、今回はその「決定版」。

「自分の鶴嘴をがちりと鉱脈に掘り当てよ!」という夏目漱石の言葉をこの本のテーマにあげ、著者によって選ばれた作品群が本書の中に集結している。

 

はしがきに書かれている、著者のメッセージ(以下の引用参照)がぎゅっと込められた1冊。

 

その本を何歳で読んだかではなく、読んだか読まないかが人生を分ける。

精神を目覚めさせてくれる言葉の力に触れ、それを自分の心の糧にし、「がちり」と手ごたえのあるもの、自分のエネルギーをかける価値のあるものを人生で見つけるための一助にしてほしい。

 

感想

 

読みながら、何度も寝落ちしました。笑

つまらなかったわけではないのですが、風邪を引いて薬を飲んでいたこと、月に一度のめちゃくちゃ眠くなる時期と重なったこと、そして読みなれない文体が多かったこと。

これらが手と手を取り合って、仲良く私を眠りの世界へ。

おかげでなかなか進まず。

そんな状態でしたが、だからこそ?感情を揺さぶられる作品に出会うことができました。

 

本書の中で一番印象に残った作品は、向田邦子の『ゆでたまご』と『字のない葉書』。

『ゆでたまご』は著者が小学4年生の時に同じクラスにいた「I(アイ)」という子の話。

片足が悪く、片目も不自由。

背もとびぬけて低く、勉強もビリ。

あげく、性格もひねくれている。

そんな彼女の母親が、遠足の時にクラスの人数分のゆでたまごを持ってきて、「みんなで食べて」と級長だった著者に手渡した。

「愛」という字を見ると、この時のIを見送る彼女の母親の姿を思い出す、という内容。

 

『字のない葉書』は戦時中の家族、主に父親の話。

著者の父親は暴君のような男だった。

そんな父親が疎開する著者の妹に渡した、宛名だけを書いた葉書。

妹はまだ字が書けなかったので、疎開先に着いたら元気な日は〇を書いてポストに入れるようにと父親は彼女に伝えた。

最初は大きい〇を書いてきた妹だったが、すぐに〇は小さくなり、×になり、しまいには葉書が来なくなった。

妹が疎開先から帰って来た日、父親が彼女の肩を抱き、声をあげて泣いたという内容。

 

どちらも短い話なのですが、その時の情景が文字からすっとイメージに変わり、自分もその場にいるかのように感じるほどの臨場感を味わうことができました。

この2つのお話で私はすっかり向田邦子のファンに。

これから著者の作品をいろいろと読んでみようと思います。

 

もう1つ、思わず笑ってしまった作品もありました。

テオプラストスの『人さまざま』。

これは、自分では気づかぬうちにまわりの人を困らせてしまう人、はた迷惑な言動の数々を収録している本なのだそうです。

本書で取り上げられているのはその一部で、「頓馬(とんま)」と「へそまがり」な人の言動・行動を紹介しています。

 

例えば「頓馬」は以下のように書かれています。

頓馬とは、たまたまかかわりをもった人たちに、相手を苛立たせるような話をしかけることである。そこで、頓馬な人とは、およそつぎのようなものである。

すなわち、忙しくしている人のところへ出かけて、相談をもちかける。

また、自分の恋人が病気で熱を出しているときに、彼女の前でセレナーデ(恋の唄)をうたう。

また、保釈保証人を請け負って、その裁判に負けた人のところへ出かけ、自分の保釈保証人になってもらいたいと依頼する。

(以下、省略)

 

「へそまがり」もおもしろい。

へそまがりとは、言葉使いの点で、態度の無礼なことである。そこで、へそまがりの人とは、およそつぎのようなものである。

すなわち、「誰それはどこにいますか?」と人から尋ねられると、「私をそっとしておいてもらいたいですね。」と答える。

また、挨拶をされても、挨拶を返さない。

また、ものを売るときは、買い手に、自分は手放したいのだが、どれほどの値になるかね、とは言わずに、あんたはいくら儲けるのかね、と尋ねる。

また、〔先方に〕祝いごとがあったので、〔へそまがりの人にも〕敬意を表し、御馳走を届けにきた人に、なきにひとしい贈りものですな、と言う。

(以下、省略)

Twitterで投稿されていたものを拾ってきたのでは?と思うほどに、「今もいるいる!こういう人!」というものばかり。

紀元前3世紀に書かれたものと知って驚きです!

どんなに時代が変化し、生活環境が変わっても、人間に備え付けられた性格は変わっていないのだなと思いました。

古代の人々が身近に感じられて嬉しいような、このくだらない部分が人間の本質のようで悲しいような。

なんだか複雑な気持ちになりました。

この本には他に「恥知らず」「けち」「虚栄」「ほら吹き」「横柄」「臆病」など全部で30項目の悪しき性癖が並んでいるそうです。

自分の行動も振り返りながら、ぜひ読んでみたい!と思った本です。

 

『理想の国語教科書 決定版』に掲載されている文学作品は、日頃私が手に取ることのないようなものばかり。

でも、それぞれの作品の著者は中学・高校の教科書に載っていて、彼らの作品を少しは読んだことがある。

学生の頃は勉強として彼らの作品に触れたので、面白みも何も感じなかった私ですが、今回読んだ作品は自発的に読んだものなので、学生の頃よりも作品や著者に心を揺さぶられることが多くありました。

 

各作品の著者の亡くなった時期を見て、「そんなに昔の人ではないんだ。」と気づいたり。

作品を読んで、「この人どんな人だったんだろう?」「どんな顔をしていたのかな?」「他にどんな作品があるのだろう?」とネットで調べてみたり。

1つの作品から自分の興味の幅が広がっていくのを感じました。

 

このネットで調べるという行為が気軽にできる時代になったのはすごく良かったと思います。

例えば向田邦子。

飛行機が嫌いで、飛行機に乗る前は験を担いで部屋を片さずに家を出るようにしていたのに、飛行機事故で亡くなっていることにびっくり。

 

『理想の国語教科書』に載っていた川端康成の写真を見て、「あら?イケメン?」と思って検索したら、おじいちゃんになった川端康成が出てきて一瞬固まったり…。笑

 

私が学生の頃よりも、ネットのおかげで勉強が楽しくなったように感じました。

今の私にはテストというものがないせいかもしれませんが。笑

せっかく出会えた著者や作品なので、心に触れたものは読んでみようと思います。

 

 

 

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