マネバナナ

アーリーリタイアを夢見る30代新米ママが好きなことを好きなように書いています

『3000万語の格差』3歳までの話しかけで子どもの能力が決まる!大切なのは「3つのT」

 

『3000万語の格差 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』を読みました。

耳の聞こえない赤ちゃんに人工内耳移植をしても、話せるようになる子とそうならない子がいるという、衝撃的な話からスタートするこの本。

子どもへの話しかけの重要性について書かれた本は今までも読みましたが、この本ほど説得力があり、かつ具体的で再現性のある本は初めてです。

内容をご紹介します。

 

目次

 

内容

 

「子どもの言葉、学力は3歳までの言語環境に左右される。」

 

外科医から社会学者へ

著者は小児人工内耳外科医から社会学者に転身したダナ・サスキンド博士。

彼女はシカゴ大学で行われた人工内耳移植プログラムを通して、ある事実に気がつきます。

それは、「耳の聞こえない子どもに人工内耳移植を行っても、すべての子どもが話せるようになるわけではない。」ということ。

 

シカゴは米国第3の都市で、貧困率、深刻犯罪率が米国の中でも上位を占める地域。

その地で著者は人工内耳移植プログラムを通して2人の子どもに出会います。

 

1人目はザック。

両親によって著者の元へ連れてこられた時、彼は生後約8ヶ月で、最も深刻な聴覚障害でした。

1歳の頃に人工内耳移植を受け、彼はその後順調に成長していきます。

やがて公立小学校普通児クラスに進学。

小学校3年生の時点では読み書きも算数も学力は標準レベルで、お友達や家族とのコミュニケーションも問題なし。

将来の学業の成功を予測する値に達していました。

 

2人目はミシェル。

著者は彼女が生後7ヶ月の時に出会います。

ザック同様、補聴器では不十分なほどの聴覚障害。

彼女は2歳の頃に人工内耳移植を受けました。

手術は成功し、人工内耳のスイッチをいれたものの、ミシェルはほとんど音に反応しませんでした。

その後も経過を観察するも、音は聞こえているけれども発話はしない、言葉を理解しているようにも見えないという状態が続きます。

小学校3年生の時点でミシェルは手話を主体としたトータル・コミュニケーション・クラスにいました。

人工内耳を付けているにもかかわらず、音声言語は最小限。

手話言語も基本がわかっているだけ。

読字レべルは幼稚園レベルぎりぎりの状態。

 

聴覚の障害は同程度だったのに、人工内耳移植後の経過になぜここまで2人の間に差ができたのでしょうか?

それは彼らが育った環境に理由がありました。

 

ザックの家庭は話す声、読む声、歌う声であふれていました。

一方、ミシェルの家庭は父親にも中度の聴覚障害があり、補聴器を使用。

母親は貧困に加えて障害のある子どもを抱え、毎日がやっとの状態でした。

 

「社会経済的な要因が学業の達成、健康、病気などの結果に関係する。」

ザックとミシェルの事例から、著者はこのことを学び、社会科学の世界に飛び出していきます。

 

ハートとリズリーの研究

社会科学の世界に入り、著者はハートとリズリーという研究者について学びます。

彼らは1960年代に貧困層の子どもたちの成績を上げる方法を探していました。

語彙力強化プログラムをつくり、最初は成果が出ていたものの、子どもたちが幼稚園に入る前にテストをしてみると、当初見られた効果は消えていました。

この研究を通してハートとリズリーはある結論にたどり着きます。

 

それは

・貧困環境に生まれた幼い子供たちの言語環境は、豊かな家庭に生まれた子どもたちの言語環境とは大きく違っていること。

・この違いがその後の学業成績と比例していること。

・子どもの学業成績の差は社会経済的な状況が原因ではなく、幼少期の言語環境に大きな要因があるということ。

 

彼らの研究を通して、「子供が聞く言葉の量と質、それも誕生から3歳までの言語環境が最終的な学業到達度の差につながるらしい。」ということがわかっていきました。

というのも、ハートとリズリーが行った実験では以下のような結果が出ていたのです。

 

・もっとも高い社会経済レベルの家庭に属する子どもたちが聞いていた言葉の数は1時間に平均2000語。一方、生活保護グループの子どもたちが聞いた言葉は約600語。

・子どもに対して親が反応する回数はもっとも高い層の親は1時間あたり250回。一方、最下層の親は50回以下。

・言葉による承認の回数は高い層の子どもたちは1時間当たり40回。一方、生活保護グループの子どもたちは4回。

そして、この「親が子どもに話した言葉の量」は、「3歳の時に親が話す言葉の量」と比例しました。

 

この研究成果を著者は人工内耳を移植した子どもたちに照らし合わせていきます。

人工内耳をつけ、その後豊かな言葉環境の家庭で育った子どもたちは伸びます。

一方、言葉環境が十分でない家庭に育つと、豊かな言葉環境の子どもたちのようには伸びません。

その違いは、まさに、ザックとミシェルのように。

 

3000万語イニシアティブを開始

ハートとリズリーの研究結果から、著者は3000万語イニシアティブというプログラムを始めます。

 

プログラムの信条は2つ。

「子どもの知性は伸びることができる。」

「親と保護者の言葉は子どもの認知発達に決定的な役割を果たす。」

 

3000万語イニシアティブでは幼い子どもに豊かな言語環境を作ることを目的に保護者の環境づくりに注力しました。

その中で、「3つのT」をこのプログラムの核としました。

 

「3つのT」

◆Tune In

子どもがしていることに注意を向け、そこに親が参加する。

乳児や幼児が集中している対象に保護者が気づき、適切な場合にはその対象について子供と一緒に話す。

 

◆Talk More

子どもと話す保護者の言葉を増やす。

・ナレーションをする:保護者がしていることを話す

・並行トーク:子どもがしていることの実況中継

・「こそあど」を除く

 

◆Take Turns

子どもを対話のやりとりの中に引き込んでいく。

「何?」という質問ではなく、「どうする」「なぜ」を使って答えが決まっていない質問をする。

 

3000万語イニシアティブは親が子どもに働きかける環境を作る「親のため」のプログラム。

これら「3つのT」を使うことで親は子どもとの関わり方を意識し、結果的に3歳までの子どもの言語環境を整え、子どもの学習能力をあげるというものです。

 本書では「3つのT」を活かした、子どもとの接し方・遊び方の例を紹介しています。

 

感想

 

 

子どもへの話しかけの重要性について書かれた本は他にもありますが、この本のようにエビデンスに基づいた説明がなされ、具体的な子どもとの接し方が書かれた本は他にないのではないでしょうか。

しかも、この本の最大の特徴は、子どもに視点を置いているのではなく、親の環境を整えるところに重点が置かれている点。

子どもへの話しかけの重要性は最近よく言われることなので、知っている方も多いと思います。

でも、そういう類の本に書かれていることは「赤ちゃんが発した言葉を繰り返しましょう。」とか、「たくさん話しかけてあげましょう。」とかいったものが多いです。

そういった本は子どもへの話しかけが重要な理由や、話しかけによる効果は書かれていても、肝心な「いつ」「どのように」「何を」という部分が欠けていることが多い気がします。

 

一方、本書は「どんな時に」「どんな言葉を」「どんな風に」子どもに投げかけていくべきなのかを具体的に説明してくれています。

それだけにとどまりません。

自己肯定感の育み方、やり抜く力の育て方、算数の能力をつける方法、実行機能と自己制御といった、最近話題の「非認知能力」を養う話しかけ方についてまで触れています。

 

私が特に衝撃を受けたのは、新生児から算数の能力は育ち始めるという話の部分。

私自身が数字関係が苦手なこと、そして何より最近はSTEAM教育の重要性についてもよく聞くので、娘には算数・数学ができるようになって欲しいなとはずっと思っていました。

でも娘は1歳になったばかりなので、まだすることはないかと考えていました。

まずは話せるようになることが先!と。

まさか、0歳から算数の能力向上は始まっていたとは・・・。

 

本書によると、算数の能力をつける=数を数えられるようにすることではないそうです。

もちろん数は数えられるべきですが、大切なのは「概数を認知する能力」と「空間認識能力」。

これらを勉強として教えるのではなく、子どもへの話しかけの中に「概数」や「空間」に関する言葉を織り交ぜて、算数能力を鍛えていくそうです。

 

この本の著者が一貫して主張していることは

「赤ちゃんは生まれつき頭が良いわけではない。保護者が話しかけることで頭が良くなっていく。」

「子どもの言葉、学校の成績、IQに大きな影響を与えるのは社会経済的な要因ではない。3歳までに子どもが聞いた言葉の数や質に比例する。」

ということ。

 子育てをしている人間にとって、これほど希望に満ちた言葉はありません。

でも実際は、子どもへの正しい話しかけ方を親が理解していないために、ただやみくもに子どもに話しかけていたり、注意や命令といった間違った話しかけで満足してしまっている親も多いのではないでしょうか。

私自身がそうでした。

 

子どもは自分が産まれる環境を選べません。

でも、すべての親や保育者がこの本を読んで子どもへの話しかけの重要性と、その方法を学べば、すべての子どもが自分が産まれ育った環境に関係なく、持って産まれた能力を最大限に伸ばし、活かして生きていくことができるようになります。

著者はそれを望んでいます。

 

ひとりでも多くの親がこの本に興味を持ち、子どもたちが幸せに生きていける社会になりますように。

3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ

3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ

  • 作者: ダナ・サスキンド,掛札逸美,高山静子
  • 出版社/メーカー: 明石書店
  • 発売日: 2018/05/14
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

 

STEAM教育についてはこの本がわかりやすいです。

 

 

 

感想はこちら↓

 

www.manebanana.work

 

 

 

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