古市憲寿さんの著書『保育園義務教育化』の中で取り上げられていた「非認知能力」に関する本を読んでみました。
手に取ったのは、中山芳一さんの『学力テストでは測れない非認知能力が子どもを伸ばす』という本。
内容をさっくりご紹介します。
目次
内容
「頭のいい子」という概念が変わってきている。
以前はテストの成績がいい子が「頭のいい子」だった。
今求められているのは思考力や判断力、表現力、学びに向かう力、人間性といった数値では測れない能力(=非認知能力)。
私たちは今、「頭の良さ」の意味を広くとらえなおすことが求められている。
非認知能力とは
非認知能力とは点数化して測定することが困難な力のこと。
具体的には
〇コミュニケーション力
〇思いやり・共感性
〇忍耐力
〇自身・自尊感情
〇意欲
今、非認知能力が重要視される理由
非認知能力は日本の教育において1996年に「生きる力」という名称で既に取り入れられていた。
では、なぜ今「非認知能力」の重要性が改めて取り上げられているのか?
理由はAIとの共存。
2045年、人工知能(AI)などの科学技術が飛躍的に革新した結果、世界がシンギュラリティ(技術的特異点)を迎えると言われている。
そうなった時、人間は、創造力や協調性といったAIにない力を使って別の役割を担うことができる。
これまで日本が重視してきた知識詰め込み型教育や学歴を重視した社会ではAIと共存することは不可能。
自分で主体的にキャリアを切り拓いていく能力が必要不可欠であり、そのためには非認知能力を身に付けることが重要である。
非認知能力と認知能力の関係性
非認知能力を家に例えると、柱・筋交いに当たる。
家の土台は自己肯定感、壁・天井・窓・扉・装飾にあたるのは認知能力。
自己肯定感のうえに非認知能力は成り立ち、非認知能力のうえに認知能力が成り立つ。自己肯定感や非認知能力を無視して認知能力(知識・技能)を伸ばすことは、少しの揺れで潰れてしまう家を建てるのと同じこと。
子どもの非認知能力を高めるために親ができること
・子どもが自分自身と向き合える時間と環境を確保する。
・子どもを一人の人格者としてとらえ、自ら選択や決定できるための支援をする。
・子どもが取り組んできたプロセスを評価する。
・大人が人生と向き合う姿を見せる。
・子どもと対等に接し、「ありがとう」や「ごめんね」を伝える。
非認知能力は大人にとっても重要
人生100年時代と言われる今、AIと共存しなければいけないのは大人も同じ。
まずは大人が非認知能力を身に付けてAIと共存する社会を作り、子どもに受け継ぐことが私たち大人の宿題。
感想
正直に言うと、この本に書かれていたことは、私が求めていた内容とは少し違っていました。
私が知りたかった内容は
・乳幼児の時期に伸ばしたい非認知能力の具体的内容
・家庭で乳幼児の非認知能力を伸ばすためにできることや工夫
・非認知能力を伸ばす効果のある、保育園での遊びや活動
といったもの。
一方、この本に書かれていたのは
・児童期(小学生)における非認知能力の重要性
・児童期(小学生)に家庭でできる非認知能力を伸ばす方法
・学校や学童保育などで行われる子どもの非認知能力を伸ばすための取り組み
といった内容。
著者が児童期の非認知能力の重要性に重点を置いてこの本を書いている理由は、乳幼児期は非認知能力の土台となる自己肯定感を育む時期と捉えているからです。
私は研究者ではないので、この考え方を否定する気はないですし、子育てにおける自己肯定感の重要性は他の本で読んだので理解しています。
ただ、「乳幼児期における非認知能力について知りたい!」という私の欲求が満たされなかったので、「思っていたのとちょっと違う・・・」と物足りなく思ってしまいました。
念のため補足しておきますが、非認知能力に関する本として『学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす』が不十分ということではありません。
むしろ、「非認知能力とはどういうものなのか」、「なぜ今、非認知能力が注目を浴びているのか」といった点について第1章と第2章でとても詳しく説明してくれています。
非認知能力について知るために本をお探しであれば、導入編として充分役立つ内容です。
また、小学生のお子さんを持つ親御さんには第3章の「非認知能力の育ち方・育て方」が、小学校の先生や教育に携わる方で、子どもの非認知能力を伸ばす取り組みについて学びたいという方には第4章の「非認知能力を育てるための実践例」がとても参考になると思います。
ご興味のある方はぜひ読んでみて下さい。
私は乳幼児期における非認知能力に関する本を求めて、もう少し本屋さんや図書館、Amazonをふらふらのぞいてみようと思います。
学力テストで測れない非認知能力が子どもを伸ばす [ 中山 芳一 ]
- ジャンル: 本・雑誌・コミック > 人文・地歴・哲学・社会 > 教育・福祉 > 教育心理
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自己肯定感については『小児科医のぼくが伝えたい最高の子育て』が参考になります。
↓読んだ感想はこちらに書きました。よかったらのぞいてみて下さい。