突然ですが、マルトリートメントという言葉を知っていますか?
ひとことで言うと「不適切な養育」という意味の言葉です。
私は『脳を傷つけない子育て』という本で初めてこの言葉を知りました。
最近は虐待のニュースが本当に多いです。
目も耳も塞ぎたくなるような内容ばかりで、被害にあった子のことを思うと涙が止まらなくなります。
「自分は絶対に虐待しない」
そう思っている方がほとんどだと思います。
私もそうです。
加害者の気持ちなんて全くわからないし、わかりたくもありません。
その一方で、自分に余裕がなくなった時、私も娘に手をあげてしまったり、言葉で傷つけてしまうのではないかという不安が妊娠中から現在に至るまでずっとあります。
虐待とまでいかなくとも、しつけとは言いづらい行為や言動。
子どもからみて理不尽な親の態度。
まさにマルトリートメント!
今回読んだ『脳を傷つけない子育て』には、こういったマルトリートメントという行為が子どもの脳に及ぼす影響と、子どもの脳を傷つけない子育てについて書かれていました。
目次
本書の内容
虐待よりももっと広義で使われるマルトリートメント。
本書では代表的なマルトリートメントとして、以下の5つの行為があげられています。
①心理的マルトリートメント
「バカ」「あなたを産んだせいで苦労している」など人格を否定するような言動
兄弟間での比較など
②面前DV
子どもの目の前で行われる家庭内暴力や夫婦喧嘩など
③身体的マルトリートメント
しつけのためにたたく(手加減している場合も含む)など
④ネグレクト
忙しくて子どもの声を無視する
短時間でも家や車の中に放置する
体調を崩していても病院へ連れて行かないなど
⑤性的マルトリートメント
子どもが嫌がるのにお風呂に一緒に入る
夫婦関係のことを子どもに話すなど
マルトリートメントが繰り返されると、子どもの脳は傷ついたり変形したりします。
その結果、うつや不安障害、摂食障害などの精神疾患を引き起こします。
マルトリートメントの厄介なところは、虐待のような悪質なものだけでなく、日々の忙しさで余裕のない親が子どもに向けた言動や行動が、知らず知らずのうちに子どもの脳を傷つけている点。
そうやって傷つけられた脳は子どもの問題行動を引き起こします。
本書では、子どもの脳を傷つけないために親がとるべき言動や行動が、39のシチュエーションで描かれています。
本書の良い点
・幼児期から思春期までの子どもの気になるふるまいに対して親がとるべき行動が39パターン紹介されています。
(例)
幼児期:発育の遅れやお友達をたたいてしまう
思春期:思春期のイライラや非行
・漫画形式なので全部読んでも1時間ちょっと。
・part2は必要なところだけ読めばOK。
感想
この本を読んで、私はマルトリートメントを受けて育ったんだなと思いました。
躾の範囲ではありましたが、親に手をあげられたこともあるし、傷つくようなことを言われた記憶もあります。
両親はいろいろなところに連れて行ってくれたし、楽しい思い出がたくさんあるはずなのに、今でもたまにふと思い出すのは、手をあげられたり、言われて傷ついた言葉だったりします。
娘が産まれてから、思い出す回数が増えたのも気になります。
きっと、親にされたことがずっと心につかえていたのでしょう。
この本を読んで、初めて自分の中で消化できた気がします。
両親のことは嫌いではありません。
いつでも私の味方でいてくれます。
娘のことをかわいがってくれるし、子育てで困った時に助けてくれます。
でも、子どもの頃に受けた傷は時間が経っても消えません。
この本では、脳に受けた傷は癒すことができると書いてあります。
ただ、それは適切な治療を受けた場合のこと。
私のように治療が必要なほど大きな傷ではない場合が一番厄介なんだと思います。
親の余裕のなさから子どもへ向けられた行為や言動。
それが少しずつ子どもの脳に傷をつけていく。
心をむしばんでいく。
娘の脳に、私と同じような傷をつけないように大切に育てていこうと改めて思いました。
夫にも読ませなければ・・・。
↓同じ著者の本。
かなり反響があった本のようなので気になります。