内館牧子さんの『すぐ死ぬんだから』を読んでみました。
内館牧子さんの本を読むのは約20年ぶり。
確か中学生か高校生の時。
自分の容姿が気になり始めた思春期の頃に『BU・SUーすべてのプリティ・ウーマンへ』という本を知って、タイトルからブスな自分の生き方の参考になるかも…と読みました。
今回もタイトルが気になって購入。
本の帯の感想が70代・80代の方ばかりで、「30代の私には共感できないかも…。」と購入をためらったのですが、Amazonの評価が高かったので読んでみました
目次
内容
主人公はおしゃれの手を抜かない78歳の忍(おし)ハナという女性。
ハナは68歳の時にブティックの店員に年齢を上に見られてから、外見を磨くようになった。
服装だけでなく、メイクもヘアスタイルもネイルも一切手を抜かない。
78歳なのに3㎝のヒールも履きこなす。
そのため、今では10歳ぐらい若く見られるようになった。
夫の岩造はそんなハナが自慢。
「俺、人生で一番よかったのはハナと結婚したことだな。」というのが口癖なほど。
2人は自他共に認めるおしどり夫婦で、お互いの趣味や考え方を尊重しながら生活している。
ところが、岩造が急逝。
ハナは落ち込み、「早く死にたい」と言っては周りの人々を困らせる日々。
そんなある日、岩造の秘密が明るみに出て、ハナは自分を取り戻し、余生の過ごし方を見つめ直し始める。
購入した理由
今年の元日、姉が両親に終活をするように言いました。
私もずっと気になっていたことではありますが、60代の親に言うのはちょっと気が引けます…。
「さすが長女だな。」と感心しつつ、私の中では「親の終活」が今年の大きなテーマになっているのです。
それで『もう死ぬんだから』というタイトルがすごく気になったんだと思います。
私の両親は父が今年、母が来年、古希を迎えます。
私が言うのもなんですが、還暦からの10年は本当にあっという間でした。
70歳が近づいてきて、両親が年老いてきたのを外見やら言動からひしひしと感じます。
両親が70歳ともなると、彼らが自分たちの老後をどう考えているのかが、娘としては気になるところ。
もうすでに年金をもらっていて、十分老後ではあるのですが、自営業なので父はまだ働いています。
ただ、仕事柄そんなに収入は多くないと思うのです。
年金も雀の涙…。
いつまで働くのか、引退後はどうやって生活するつもりなのか不明です。
お金の問題だけではありません。
私の実家は祖父が建てた家なのでかなり古いです。
家の構造上、住むには問題ないのですが、無駄に広いせいで物が多い。
少しずつ整理するように兄弟で両親を説得していますが、ちょっと片づけただけでやった気になるので困っています。
それどころか、父は色々あって物をため込む性格に…。
正直、私はあんまり実家に帰りたくありません。
でも、彼らが自分たちの「老後」や「終活」を現実のものとして考えられないのは、恐らく92歳の祖母と暮らしているからだと思います。
まだ親の世話をしている身だから、自分たちは現役という気持ちなのでしょう。
ですが、もう70歳。
現在の平均寿命まであと10~20年程度ありますが、ずっと今の体力でいられるわけではありません。
健康寿命で言ったら、よくて4~5年です。
そんな両親に「終活」をもっと身近に感じてもらえるヒントはないかと購入しました。
感想
生後2ヶ月の娘そっちのけで一気に読んでしまいました。
それぐらいおもしろかったです!!
特に第3章の、ハナの夫(岩造)が死んだ後の展開がページをめくる手を止めさせてくれませんでした。
「60代に入ったら、男も女も絶対に実年齢に見られてはならない。」
「人は退化に比例して手をかけるしかない。退化をカバーするのは、エクササイズや食事も含めて、まず外見磨き。」
というのがハナの考え。
78歳でこの考えのもと、自分を磨き続けるハナの姿は素敵だなと私は思いました。
本を読んでいる私は30代なのにすっぴん、眼鏡にパジャマで髪はぼさぼさ。
生後2ヶ月の娘がいるとは言え、外見磨きの手抜きは妊娠前から。
育児を理由に手抜きに拍車がかかっただけ。
「情けないなー。きっと私は70代になったら『年なんだから楽が一番』とか言って、ハナがもっとも嫌がる老人になるんだろうなー。」と、ぞっとしてしまいました。
いや、既に私はハナが嫌がる嫁の由美に近いかも…。
由美は自称画家で、絵の制作のためアトリエに引きこもり。
身なりには一切気を遣わない、ハナとは真逆の女性。
服はいつも古びたトレーナーやら、絵の具だらけのツナギやら。
もちろんすっぴん、手入れもされていない洗いっぱなしの顔。
しかも、その服装で接客はするし、スーパーに買い物にも行く。
ここまでひどくはありませんが、由美に近いものを感じます…。
私は30代ですが、10代・20代にはあった若さから出る輝き?のようなものが、28歳ぐらいから徐々に減り、今現在は自分から全く発せられていないのには気づいています。
なのに、確実に20代の頃よりも自分への手入れを怠っている。
このまま手を抜き続けたら70歳の時の私はどうなってしまうのか…。
親の終活をきっかけに手に取った本ですが、私自身がハナにカツを入れてもらった気がします。
私の母の年齢は、本書の中でハナがうらやむ68歳。
「あと10歳若かったら…」とハナは何回も言っています。
母が今後の10年を考える良いきっかけになると思うので、この本を貸そうと思います。
母なりの終活を考えるスタートになったら嬉しいです。