雑誌やインターネットの特集を見ていると、20代~50代の人たちに対して将来に向けて貯蓄をしましょうという記事が溢れています。
特に結婚している人たち向けの記事では、いかに住宅ローンを返しながら教育資金・老後資金を準備するかについて書かれているものがほとんどです。
最近は人生100年時代と言われることが多くなり、今までよりも老後資金の準備をあおる記事が増えたように思います。
収入が少ない20代の若い夫婦には子供が産まれるまでが貯め時と言って貯蓄をあおる。
30代の子育て世代には一刻も早く妻がフルタイムで働くことを提案し、子供手当で教育資金を、妻の収入が増えた分を貯蓄と投資にまわして老後資金を準備するようあおる。
教育資金と住宅ローンの返済に苦しむ40代・50代には、再雇用で65歳、できれば70歳まで働くことを勧め、年金の受け取りを先送りすることを提案し、不足分を今から貯めるようあおる。
確かに平均寿命が年々上がっていること、私たち若い世代は年金も今ほどあてにできないことを考えると、老後のための貯蓄は必須だと思います。
今後も増税は避けられないだろうし、医療費も介護保障費も私たちが高齢者と言われる頃には今よりも負担額が上がっていることでしょう。
今世の中で言われている老後に必要な資金よりも、私たちが老後を迎えるころにはもっとお金が必要になっている可能性は十分考えられます。
書いている私もますます不安になってきました。
我が家も当然老後のための資金準備はしています。
結婚当初から子供ができた時に備えて、学資保険代わりに低解約返戻金型の保険にも加入しています。
それでも不安で、余計なお金を使わないように細心の注意を払ってきました。
でも、最近思うのです。
人生100年時代と言っても、みんながみんな100歳まで生きるとは限らないんだよな、と。
私のおじは先月70歳で亡くなりました。
病気だったわけではありません。
突然の訃報でした。
おじはずっと働いていたため、仕事柄、長期の旅行にはなかなかいけませんでした。
亡くなった時、部屋にはたくさんの日帰り旅行のパンフレットが置いてあったそうです。
その話を聞いて、本当はまだまだ行きたいところ、やりたいことがいっぱいあったんだろうなと思いました。
昨年には定年を控えた上司が突然職場で倒れて亡くなりました。
還暦を迎える一週間前のことでした。
本当にいい上司で、定年退職しても再雇用で今の職場にずっといて欲しいと生前お願いしていたほど大好きな方でした。
還暦を迎えることも、定年を迎えることもできずに職場で亡くなった上司。
今まで会社のために頑張って働いた分、これからは自分のための時間・家族と過ごす時間を大切にしたいと思っていたことでしょう。
上司の気持ちを思うと、涙が止まりませんでした。
老後にお金が底をつきて、貧しい生活をしたいとは思いません。
親が介護状態になったらどうしようという不安が今ある分、自分の子供には絶対に迷惑をかけたくないとも思っています。
でも、老後のことばかり考えて今を楽しめていないのも不幸だなと最近感じます。
若いからと言って明日死なないとも限らない。
もし明日死ぬことになった時に、あれ食べたかったな、あそこに行きたかったな、あれやってみたかったなと後悔ばかりの人生にはしたくありません。
入ってきたお金を貯蓄と日々の最低限必要な生活費にだけ仕訳けるのではなく、そこに人生を楽しむ予算も組み込むことって大切だなと感じました。
そして、人生を楽しむためのお金は出し渋らず、快くお財布から送り出す。
最初は抵抗があるかもしれませんが、少しずつ心を慣らしていこうと思います。
よく言いますもんね、「天国にお金は持っていけない」って。